NWECフォーラム2012報告~男性偏重政治が原発政策にもたらす弊害~

8月25日、国立女性教育会館ヌエックで開かれたNWECフォーラム(男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム)の2日目、会場には約100人の参加者が集まり、原発政策に正面から対峙している4人の女性議員と活動家から、お話を伺いました。

はじめに、まさに今福島原発事故による様々な問題と向き合い、闘っている福島県郡山市議の蛇石郁子さんからの報告がありました。蛇石さんは原発事故後「生きたここちがしなかった」「怒り浸透の3月、4月だった」と当時の悲痛な思いを語りました。また、「政策決定に女性をというのは当然のこと。計画段階から男性-女性の意見をしっかりと聞き、決定の場に反映していくことが重要だ」と力強く語られました。

次に、福井県小浜市議会で唯一の女性議員、能登恵子さんからの報告。原発銀座と呼ばれる若狭湾小浜市は大飯原発の10キロ圏内に市民の70%が住んでいる地域です。福井では1957年から既に原発の問題あり、これまでの長い歴史の中で様々な人が原発に反対する運動を続けていることを改めて知らされました。しかし市民がどれだけ声を上げても議会は一様にして原発誘致を進めてきた経緯がありました。能登さんが問題に気付き、後に出馬のきっかけともなるのは、核燃料貯蔵施設誘致反対の署名を人口3万2千人の都市で1万4筆も集めたにも関わらず、市議会は誘致決議を可決した時。当時、女性議員が一人もいなかった、これが問題ではないかと気づいたのだそうです。

3人目の報告者、宮城県加美町議の伊藤由子さんの町は、東北電力女川原発に近い。
あまり報道はされませんが、東日本大震災ではあとわずか80センチ津波が高ければ福島原発と同じ状況になっていたほどの危機的な状況にあったことは、身の毛がよだつような真実です。そんな中、自分たちがどのような立場に立っているのかわかっていないような無責任で乱暴な発言をする議員や電力会社が存在します。伊藤さんは、町議会で唯一の女性議員として、この現実を変えていかなければならないという強い意思で立ち向かっていました。

最後の報告者、山口県岩国市民の勝又みずえさんは、原発と女性議員の関係を報告しました。六ヶ所放射性廃棄物再処理工場のある青森県下北半島の1市3町4村の女性議員の比率はわずか1.85%。福島第一原発30キロ圏内の女性議員比率は7.56%、特に、福島原発1号機がある大熊町双葉町は0~1人。この数値からわかるように、まさに男性偏重政治そのものです。わたしたち大人は、このことを知った以上責任をとらなくてはいけない、と力強く訴えられ、会場の多くの人も深くうなずく内容でした。

いずれの報告者も、原発推進派男性中心の政界で声を上げている大変勇気ある活動家たちです。選挙には裏金が流れ、数々の妨害行為もあったという話もあります。知れば知るほど「男性偏重政治が原発政策に弊害をもたらしている!」と感じざるを得ない内容でした。今、女性たちがこの男性偏重の流れをストップさせなければならない責任があります。原発事故がもたらした被害は本当に計り知れないものであり、これをきっかけに私たちが舵切りをしなければならない、ということを改めて感じられる有意義な時間でした。